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大判プリンターはリースと購入どちらが得か?即時償却が消える落とし穴と判断基準【2026年版】

公開:2026年7月14日

大判プリンターのリースと購入を比較検討する、契約書と電卓の置かれた事務所のデスク

「大判プリンターはリースと購入、どちらが得ですか」——導入相談で最も多い質問です。ところがWeb上の記事を読んでも、答えは決まってこうです。「初期費用を抑えたいならリース、長く使うなら購入」。

この説明は間違ってはいません。ただ、決定的に足りないものがあります。それは、そのほとんどが「コピー機・複合機」の話をそのまま流用している、ということです。

本記事では、所有権移転外ファイナンスリースでは即時償却が使えないという事実を出発点に、機種価格・税制・使用年数の3軸で判断できるところまで踏み込みます。

大判プリンターはリースと購入、どちらが得か?

金額だけを見れば購入が有利です。ただし所有権移転外ファイナンスリースを選ぶと「即時償却」が使えなくなり、税額控除10%しか選べません。逆に言えば、即時償却は税金の前倒しにすぎないため、実害は思われているほど大きくありません。本当の分岐点は「その機械を何年使うか」です。

コピー機は5年で入れ替えるのが常識です。カウンター料金があり、保守はリース料に含まれ、性能差は毎年広がっていきます。一方、看板業界の大判プリンターはどうでしょうか。8年、10年と使い倒している工場は珍しくありません。カウンター料金はなく、保守は別契約です。前提がまるで違うのに、同じ結論を持ち込んでいるのです。

そして、リースを扱う業者がまず書かない事実がひとつあります。

リースを選ぶと「即時償却」は使えません。中小企業経営強化税制の即時償却は、一般的なリース契約(所有権移転外ファイナンスリース)では適用できません。使えるのは税額控除のみです。これは国税庁が明記しているルールです。

本記事では、この事実を出発点に、機種価格・税制・使用年数という3つの軸で「あなたの会社はどちらを選ぶべきか」を判断できるところまで踏み込みます。ミマキ全16機種の判定表も掲載します。

結論:3つの質問で答えは出る

リースと購入、結局どちらが得なのか?

支払総額だけなら購入が有利です。60回リースの支払総額は本体価格の約114%になります。ただし手元資金・税制の使い方・使用年数によって結論は反転します。

「どちらが得か」は、会社の状況を3つ確認すれば判断できます。順に見ていきましょう。

リース・購入の判断フロー

  1. その機種は税別160万円以上か

    160万円未満なら中小企業経営強化税制の対象外です。税制を判断材料から外し、資金繰りだけで決めます。CG-ARシリーズなど低価格機は、そもそもリース組成が難しい価格帯です。

  2. その機械を何年使うか

    5年で入れ替えるならリースと購入の差は縮みます。8年・10年使うなら購入が圧倒的に有利です。看板業界の実態は後者です。

  3. 今期の利益を圧縮したいか

    突発的に利益が出た期なら「購入+即時償却」が刺さります。平常運転なら税額控除で十分です。リースでも税額控除は使えます。

  4. 手元資金は残す必要があるか

    運転資金・仕入・人の採用に資金を回したいなら、支払総額が多少増えてもリースの合理性があります。金額差は「資金を寝かせない対価」です。

リースでは即時償却が使えない——これが最大の違い

中小企業経営強化税制には、2つの選択肢があります。「即時償却」か「税額控除10%」か、どちらか一方を選びます。ところが、リースで導入すると選択肢が1つ消えます。

税制優遇の使える範囲

購入(現金・借入)リース(所有権移転外)
即時償却○ 選べる× 使えない
税額控除10%○ 選べる○ 使える
固定資産税の特例(先端設備等導入計画)○ 自社で申告○ リース会社が申告し、軽減分がリース料から控除される
所有権自社リース会社

所有権移転外ファイナンスリースとは、契約満了時に所有権が借り手に移らず、リース会社へ返却される契約です。一般的なリース契約はこれに該当します。

出典:国税庁 No.5434「中小企業経営強化税制」の注記に、所有権移転外リース取引により取得した設備は特別償却(即時償却)を適用できず、税額控除のみ適用できる旨が明記されています。

ただし——即時償却は「減税」ではありません

ここで慌てて「では購入一択だ」と決めるのは早計です。当サイトの税制記事でも書いたとおり、即時償却は減税ではなく費用の前倒しだからです。

税別2,022,000円のUJV100-160を例に、両者の効果を比べてみます(法人実効税率を仮に34%とした場合の概算です)。

即時償却と税額控除の効果比較(税別2,022,000円の機種の場合)

即時償却税額控除10%
初年度の税負担軽減額約687,000円約202,000円
2年目以降減価償却費が計上できない影響なし
使用期間トータルの減税額0円(前倒しにすぎない)約202,000円(消えない)
リースで使えるか使えない使える

実効税率は所得金額や自治体により異なります。実際の効果は顧問税理士にご確認ください。

即時償却と税額控除、どちらが得なのか?

長期で見れば税額控除です。即時償却は初年度の税負担を約68万円圧縮しますが、その分2年目以降の減価償却費が消えるため、通算では減税額ゼロです。税額控除の約20万円は、どこまでいっても消えません。

つまり、リースが捨てているのは「減税」ではなく「前倒し」です。この事実を知ると、リースのデメリットは世間で言われているほど大きくないことがわかります。

即時償却が本当に効くのは、「今期だけ突発的に利益が出てしまった」ケースです。大口案件が決まった、補助金が入った、不動産を売却した——そんな期に設備投資をぶつけるなら、購入して即時償却する価値があります。逆に、平常運転の会社が即時償却にこだわる理由はほとんどありません。実際の適用可否・効果は顧問税理士にご確認ください。

実額で比べる:UJV100-160を10年使ったら、いくら違うのか

抽象論では判断できません。当サイトに掲載しているミマキUJV100-160(メーカー標準価格 税別2,022,000円/税込2,224,200円)を例に、実際の金額を並べます。リース料率1.9%・60回払いの想定です。料率・審査結果はリース会社により異なります。

購入とリースの支払比較(UJV100-160・税込)

購入リース(60回)
初期費用2,224,200円0円
月々の支払なし42,300円
5年間の支払総額2,224,200円2,538,000円
購入との差額+313,800円
6年目以降の支払0円再リース料が発生
10年使った場合の総額(概算)2,224,200円約2,853,000円
10年での差額約629,000円

再リース料は年額でおおむね月額の1〜2ヶ月分が目安ですが、リース会社・契約により異なります。ここでは1.5ヶ月分(年間約63,000円)で試算しています。

60回で見た差額は約31万円。これは実質的な金利負担です。税額控除の約20万円を足しても埋まりません。金額だけを見るなら、購入が有利という結論は動きません。

看板業界で効いてくるのは「6年目以降」です。購入した機械は6年目以降、支払いがゼロになります。リースは満了後、返却するか再リース料を払い続けるかの二択です。大判プリンターを8年・10年と使い倒す工場にとって、この差は決定的です。10年で約63万円——インク数十本分に相当します。

コピー機の記事が「5年で入れ替えるからリースが合理的」と書けるのは、コピー機が5年で陳腐化するからです。溶剤プリンターやUVプリンターは、ヘッドさえ生きていれば10年動きます。他業界の常識を、そのまま持ち込まないでください

見落とされている第3の選択肢:所有権が移る契約

「リースか、購入か」——この二択で悩んでいる方の多くが、3つ目の選択肢を知りません。

手元資金を残しながら、即時償却も使う方法はあるのか?

あります。所有権が借り手に移る契約形態(所有権移転ファイナンスリース、割賦販売など)であれば、税務上は購入と同じ扱いになり、即時償却も特別償却も選択できます。

税務上、リース取引は2種類に分かれます。契約満了で所有権が移らない「所有権移転外」と、移る「所有権移転」です。即時償却が封じられるのは前者だけです。後者は税務上「売買」とみなされるため、購入と同じ扱いになります。契約形態の判定・適用可否は顧問税理士にご確認ください。

  • 所有権移転外ファイナンスリース … 一般的なリース。満了後は返却。税額控除のみ
  • 所有権移転ファイナンスリース … 満了後に所有権が移る。即時償却・税額控除の選択可
  • 割賦販売(分割払い) … 最初から所有権は自社。即時償却・税額控除の選択可

「初期費用を抑えたい。でも即時償却は使いたい」——この矛盾する要望は、契約形態を変えるだけで両立できる場合があります。ただし取り扱いの可否・料率・審査条件は販売店とリース会社によって異なります。まずは相談してください。

リースで損をする3つの落とし穴

落とし穴①「7年リースなら月々が安い」という提案

リース期間を60回から84回に延ばせば、当然ながら月々の支払額は下がります。「7年のほうがお得ですよ」——そう提案されたら、必ず支払総額で比べてください。

月額の安さは、値引きを削るための煙幕になり得ます。本体価格の値引きを小さくしたまま期間を延ばせば、月額だけは安く見せられます。リース料率も月額も、単体では意味を持ちません。判断すべき数字は「月額 × 回数 = 支払総額」の一点です。

見積書を取ったら、まず電卓を叩いてください。月額と回数を掛けるだけです。それだけで、その提案が本当に有利かどうかが見えます。

落とし穴② 中途解約は原則できない

リースは原則として途中解約ができません。解約する場合、残りのリース料相当額を一括で支払うことになります。「思ったより仕事が入らなかった」「事業の方向性が変わった」——そんな理由では降りられません。

新規事業として大判プリンターを導入する場合、この拘束力は真剣に検討すべきリスクです。5年間、確実に稼働させ続けられるか。稼働率の見通しが立たないなら、レンタルや外注で助走期間を作るという判断もあります。

落とし穴③ 保守はリース料に含まれない

コピー機のリースに慣れていると誤解しがちですが、大判プリンターのリース料に保守費用は含まれません。故障時の修理費はユーザー負担が原則です。保守契約は別途、販売店やメーカーと結ぶことになります。

「リースなら壊れても安心」は成り立ちません。ここは購入でもリースでも条件は同じです。導入コストを比較するときは、必ず保守費用を別枠で足してください。

【機種別】あなたが検討中の機種は、どちらが向いているか

リースの可否も、税制の対象可否も、機種の価格で決まります。当サイトに掲載しているミマキ機種を、価格帯で3つに分類しました。

価格帯別・リースと税制の可否(税別価格)

価格帯リース組成経営強化税制推奨
税別30万円未満組成が難しい対象外(160万円未満)購入一択
税別30万〜160万円未満可能対象外(160万円未満)資金繰りで判断
税別160万円以上可能対象本記事の3軸で判断

中小企業経営強化税制の機械装置は、1台あたり税別160万円以上が金額要件です。複数台の合算はできません。

価格帯の整理を踏まえ、個別機種の判定に進みます。シリーズではなく「機種単位」で160万円要件を見るのがポイントです。

ミマキ主要機種の判定(税別・メーカー標準価格)

機種税別価格経営強化税制リース組成
CG-60AR192,000円対象外困難(購入一択)
CG-100AR328,000円対象外可能だが購入推奨
CG-130AR381,000円対象外可能だが購入推奨
CG-75FXII660,000円対象外可能
CG-130FXII1,118,000円対象外可能
CG-160FXII1,341,000円対象外可能
CJV200-751,500,000円対象外(★160万円未満)可能
CJV200-1301,700,000円対象可能
UJV100-1602,022,000円対象可能
UJV200-1302,120,000円対象可能
JV400-130LX2,160,000円対象可能
UCJV300-752,480,000円対象可能
UJF-3042MkII e2,703,000円対象可能
UJV55-3205,650,000円対象可能
UJF-7151plusII e7,917,000円対象可能
JFX200-1213 EX8,000,000円対象可能
SIJ-320UV10,108,000円対象可能
JFX600-251324,387,000円対象可能
JFX600-253133,000,000円対象可能

UJV100-160Plus・Tiger600-1800TS AP50はメーカー標準価格が非公開のため、判定表には掲載していません。お見積もりにてご案内します。価格は変更される場合があります。

「リース可能」=「リースが得」ではありません。この表が示しているのは、リース契約を組めるかどうかだけです。得か損かは、機種価格ではなく「その機械を何年使うか」で決まります。JFX600を10年使うつもりなら、金額面では購入が有利です。それでも一括で用意できるかは別の問題であり、そこは資金繰りの判断になります。

CJV200シリーズには注意点があります。同じCJV200シリーズでも、CJV200-75は税別1,500,000円のため160万円の金額要件を満たしません。CJV200-130(税別1,700,000円)は対象です。シリーズ単位ではなく、機種単位で判定されます。

整理すると、こうなります。金額だけを比べれば、どの価格帯でも購入が有利です。それでもリースが選ばれるのは、「支払総額の差」よりも「手元に資金を残すこと」の価値が上回る場面があるからです。この判断は経理の問題ではなく、経営の問題です

こういう会社は、こちらを選んでください

購入が向いている会社

  • 同じ機械を8年以上使い倒す予定がある(看板業界の多数派)
  • 今期、突発的に利益が出た。即時償却で圧縮したい
  • 設備投資の予算をあらかじめ確保している
  • 検討機種が税別160万円未満(税制も使えず、リースの利点が薄い)
  • 自社の裁量で売却・下取り・移設をしたい

リースが向いている会社

  • 手元資金を運転資金・仕入・採用に回したい
  • 検討機種が数百万〜数千万円で、一括購入が現実的でない
  • 固定資産の管理・申告の手間を増やしたくない
  • 5年ごとに最新機種へ入れ替える方針を持っている
  • 毎月のコストを平準化し、原価計算を単純にしたい

どちらとも決めきれない場合。「手元資金は残したい。でも長く使うし、即時償却も使いたい」——この場合は、所有権が移る契約形態(割賦・所有権移転リース)が答えになる可能性があります。機種と会社の状況をお聞かせいただければ、条件をご案内します。

当サイトの機種ページでは、メーカー標準価格とあわせてリース月額の目安(60回)を掲載しています。価格帯の異なる3機種を挙げます。ご自身の予算帯に近いものから、実際の数字をご覧ください。

ミマキエンジニアリング UJV100-160
税別202万円〜

UJV100-160

エントリー帯。本記事のシミュレーション機種

ミマキエンジニアリング UJV55-320
税別565万円〜

UJV55-320

ミドル帯。3.2m UVロール機

ミマキエンジニアリング JFX200-1213 EX
税別800万円〜

JFX200-1213 EX

ハイエンド帯。フラットベッド(リース検討の中心層)

出典・参考

本記事は制度の概要と一般的な比較の整理であり、個別の税務判断・会計処理を行うものではありません。リース料率・審査結果はリース会社により異なります。税制・会計の適用可否や効果は、必ず顧問税理士・所轄税務署の最新情報をご確認ください。

よくある質問

大判プリンターはリースできますか?

本体価格が税別30万円以上であれば、一般的にリース契約が可能です。それ未満の低価格機(CG-60ARなど)はリースが組みにくく、購入での導入が基本になります。

リースを選ぶと、税制優遇は一切使えなくなりますか?

いいえ。一般的なリース(所有権移転外ファイナンスリース)でも、中小企業経営強化税制の税額控除10%は使えます。使えなくなるのは即時償却(特別償却)だけです。固定資産税の特例も、軽減分がリース料から控除される形で反映されます。詳細は顧問税理士にご確認ください。

リース料率が低ければ、それだけ有利ということですか?

違います。リース料率が低くても回数が多ければ支払総額は増えます。判断すべき数字は「月額 × 回数 = 支払総額」です。7年リースは月額が下がりますが、総額は5年リースより高くなるのが通常です。

リースの審査に落ちることはありますか?

あります。決算内容・設立年数・代表者の信用情報などが審査対象です。創業間もない場合や赤字決算の場合は、連帯保証人や頭金を求められることがあります。個人事業主の場合も同様です。審査結果はリース会社により異なります。

リース中に故障したら、修理費はリース会社が負担しますか?

いいえ、原則としてユーザー負担です。大判プリンターのリース料に保守費用は含まれません。保守契約は別途、販売店またはメーカーと結ぶ必要があります。この点は購入と同じ条件です。

リース期間中に解約できますか?

原則としてできません。解約する場合は、残りのリース料に相当する解約損害金を一括で支払うことになります。稼働の見通しが立たない段階での契約は慎重に検討してください。

リース満了後、その機械はどうなりますか?

所有権移転外ファイナンスリースの場合、機械はリース会社に返却するのが原則です。継続して使いたい場合は再リース契約を結びます。再リース料は年額で月額の1〜2ヶ月分が目安ですが、リース会社により異なります。

中古機を購入する場合も、税制優遇は使えますか?

使えません。中小企業経営強化税制・中小企業投資促進税制はいずれも新品が対象です。中古機は導入価格が下がる代わりに、税制優遇と保守の面でリスクを負うことになります。詳細は顧問税理士にご確認ください。

このサイトの運営について

看板資材のネット通販で支持される「サインシティ」を運営する株式会社トレード。2001年のネット草創期からEC運営を続けてきた先駆企業であり、全国50拠点以上をもつ上場企業グリーンクロスグループの一員です。プリンター本体だけでなく、印刷メディアやラミネートなどの資材まで自社で扱う“材料商社”だからこそ、トータルでお求めやすい価格をご提案できます。相見積もり、歓迎です。

  • 2001年(ネット草創期)から自社ECサイト「サインシティ」を運営
  • 株式会社トレードは1990年設立
  • 全国50拠点以上をもつ上場企業グリーンクロスグループ(証券コード272A)の一員
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